斜めSlant給水管、供給管、アンカー

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水道管やガス管の家庭への引き込みでは、壊すと復旧に多大な費用のかかる構造物がいろいろあります。
たとえば、

  1. 斜面崩壊保護石(ブロック)
  2. 階段
  3. 植樹

などです。
グルンドマートはこういう現場で有効です。
グルンドマートは老朽管、鉛管などの入替え工事にも使われます。

京都「清水寺」へのガス管引き込み工事

清水寺(京都市東山区)
清水寺(京都市東山区)

この種の工事で印象深いものは、京都の「清水寺」へのガス管引き込み工事です。
この工事は30年以上も前に大阪ガス(敬称略)の導管チームによっておこなわれました。
山門から本堂までの長い階段には観光客や参拝客がひっきりなしに往来しています。

この階段の下にガス管を布設するのは容易ではありません。
清水寺・京都市東山区道りや階段の両側には、食堂やみやげもの店をはじめとするさまざまな店があり、開削での大規模工事では、観光客や参拝客のみならず、地元の商店の営業にも少なからず悪影響が出ます。

また、配管後の復旧工事にも多大な費用と時間がかかります。
そこで、大阪ガスはグルンドマート工法の採用を決断しました。
階段下は、通行のじゃまにならない「たたき」の場所に小さな発進坑をもうけ、階段下の到達坑までグルンドマートで推進しました。

グルンドマートによる推進工では土が出ないので、埃も舞いません。音も、グルンドマートが土中に入ってからは静かです。

施工当日、到達坑では工事関係者や地元商店の人たちがグルンドマートが出てくるのをじっと待っています。

次第にグルンドマートの推進音が到達坑に近づき、やがて土を押し分けてグルンドマートが頭を出しました。

すると、その瞬間、まわりの人々から、「オォー!!」という歓声があがりました。
以上は、当時施工に立ち会った大阪ガスのグルンドマート担当者の話です。
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※ちなみに清水寺の長く急な階段は、今でも観光客の気になるところで、お年寄りが、「自分などでも登れるだろうか」、とか、若い母親が「赤ちゃんを抱いたまま登れるか」、といった質問をネットなどでしています。

防災工事(急傾斜地崩壊対策工事、のり面保護、強化工事)

急傾斜地崩壊対策工事

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グルンドマートがこの種の工事に使われるケースはまれで、多くは削孔(ボーリング)方式もしくは打撃削孔(インパクトドリル)方式をもちいます。基岩まで削孔し、そこまでロックボルトを挿入することで、アンカーの地すべり抑止力を高めるのが目的です。
グルンドマートは岩盤を推進できません。
が、足場や仮設に多大な費用がかかる現場では、削孔工法や打撃削孔工法の簡易的な代用としてグルンドマート工法が使われます。

それは、グルンドマート工法では基岩の掘削まではできないものの、水も使わず、地盤の締め固め効果があるので、地すべり面の地盤強化(地すべり抑止力の増大)に寄与するからです。

耐震補強工事

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